あれからどれほどの月日が流れたのでございましょうか。
わたくしのようなオンボロ帽子には、到底見当もつきません。ただわたくしはその名の通り、沢山の魔法使いの進むべき寮を決めてきましたし、そして何より沢山の魔法使いが亡くなるのを見届けてきました。その中には、偉大な事を成し遂げる魔法使いも、この世を震え上がらせるような凶悪な魔法使いも、はたまた家族を愛し名を挙げる事無く安穏に生き抜いた魔法使いもおりました。しかし皆一様に亡くなってゆくのです。


人とは脆いもの。されど、それ故に私は人を愛さずにはいられないのだ。


そう仰ってお笑いになったあの方を、あの日の事を、
わたくしは今も鮮明に覚えております。







*お話の前に


序幕:ここから全ては始まった
1.レトロアパートの朝 2.花も咲かない 3.お悔やみ申し上げる 4.クレイジーボーイ 5.白夜
幕間:夜明けの雪
6.美しき戯言 7.電子に乗せて 8.やがて覚める 9.先の事は知らない 10.sugar and spice 11.犬も食わない
幕間:まばゆい花
12.王様達のブランチ 13.薄明るい朝 14.殺人日和 15.真夜中の攻防 16.ガラス細工
幕間:静かなる涼
17.愛は純粋だって? 18.world end 19.星座 20.おざなりの言葉 21.繋いだ手 22.かじかむ夜に
幕間:むせかえる豊穣
23.終わりの日 24.爆ぜる 25.何だって出来るよ、お前の為なら 26.親愛なる 27.出来るなら秘密にしておいて
終幕:すべての幸ひをかけて願ふ





*image song:『HURRY GO ROUND』/hide & 『A DAY FOR YOU』/LOVE PSYCHEDELICO & 『何も語らぬ人々』



photo:水珠