「・・・・・・・・・・なんで?」


息が詰まった。うわ言の様な声が出る。
向いに立つ土方の影が大きく伸びた。


「それはお前が良く知ってんだろ。」
「だからってそんな急に・・・」
「急?こうなる事はあいつ等が来た時からわかってただろ。って、お前、何処行く気だよ!」
「ヘルシーランド!!」
「無駄だ!!さっき復讐者が来てあいつ等を・・・―――聞いてんのか!!!!」


走り出した彼女に土方がクソッ、と舌打ちして二人の会話を冷静に眺めていた高杉を振り返った。追いかけろと目で訴えている。高杉は嫌そうな顔をしたが咥えていた煙草を靴で踏み躙って彼女が走って行った方向へ足を向ける。が、一、二歩歩いたところで急に土方を振り返り、お前わかってたんだろ、と掠れた声で呟いた。六道たちが動く事、だからを旅行に連れ出した。土方は応えない。相変わらず瞳孔の開いた目で高杉を見つめ、それから口を歪めた。


「ああ、わかってたぜ。」
「バレたら恨まれんぞ。」
「それがどうした。跡を継ぐか決めかねてるアイツはまだマフィアとは無関係だ。関わる謂れはねーだろ。」


夕日の禍々しい光りに土方の存在はどこか現実離れしていた。高杉は小さく息を吐く。再び歩き出せば土方の呟く声が後ろから聞こる。


「それに他人の命なんてアイツと比べりゃァ安いもんだろ?」

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