は行儀悪く椅子に両足を立たせて座っていた。(彼女は制服以外スカートを穿かないからよく足を立たせる)ぼんやりとした表情。その先には光に翳すようにして掲げた小さな骨がある。鳥の骨。バーズが飼っていた鳥の骨だ。 朝、バーズがテーブルの上で何かを磨いているのを骸が見かけ、何をしているんですかと声をかけると彼は別段普段通りの声で 鳥の骨を磨いているんですと答えた。 私が飼っていた鳥の一羽が今朝死んだんです。 彼は言う。それを少し離れた所では眺めていた。死んだ鳥はに懐いていた鳥だった。珍しく周りを飛び、肩にとまる鳥だった。ぼんやりとした頭でそれを思い出す。胸がきゅう、とする。体が重い。朝は体が動かない事が多い。件の病気のせいか単にそう言う構造なのか知らないがまるで全ての機能が停止したように動かなくなる。今日も朝起きてリビング(と言えるだけの清潔さも機能もない)へ入るとその前兆が体を蝕んだ。仕方なく隅にあるソファに座るとすぐに動かなくなった。しかし、数分経てば元に戻るので彼女も勿論ソレに慣れているメンバーも気にしない。ぐったりとソファに身を預ける。骸はその鳥の肉は如何したのかと訊いていた。バーズが何か答える。何と言ったかは聞いていなかった。 「バーズ。」 が呼ぶと彼と骸は驚いた顔をして振り向いた。当然だ。彼女が自分から声をかけるのはとても珍しい。半年に一回あるかないかだ。しかも仕事の時でもないのに。は億劫そうな目でバーズを見ている。 「その骨、どうするの?」 「え、あ、そうですねぇ。土に埋める予定です。」 たじろぎながら答えるバーズには ふーん、と呟く。それから彼女は黙考するとじゃぁ、その中の一本をくれないかと言ってきた。一番小さいのでいいよ。ダメならいい。無理にとは言わないから。バースはしばらくして件の鳥がに懐いていたのを思い出し、戸惑いながらも いいですよと頷いた。その時からその小さな骨はの手の中にある。 翳すのに飽きたのかは小さな骨を優しく握り締めた。バーズが朝方から磨いていただろう骨はすべらかで綺麗である。黒い瞳が瞬きを一つ。と、今まで座っていた椅子を降り、ふらりとリビングを後にした。そんなにジジとヂヂは互いに首をかしげている。 |