ひらりひらりと舞い遊ぶように姿見せたアゲハ蝶


静寂を好む青に

儚さを残す黄色



そして


闇に染まった漆黒の羽






光.




。」


俺を引き止めたのは今一番会いたくない人物、

トム・リドル


だった。



俺とリドルは恋人同士だ・・・・と思う。

告白とかデート(っつても散歩とかホグズミード行くくらいだけどな)とかはやってきた。

最初は優しかったし幸せだった。




・・・でもだんだんリドルは変わっていってしまった



俺のいる前で女にキスをしたり
天気のことを話すようにその晩抱いた女の話をする。


その度に俺が怒るのを見て楽しんでいる。






「・・・なんだよ。」


不機嫌そうにリドルを睨むと彼はくすりと綺麗に笑った。


「ちょっと話したいことがあるんだけど、来てくれる?」


「イヤ。」

簡潔に断って俺は寮に帰ろうとしたが、腕をリドルに掴まれ


「来るよね?(にっこり)」

有無を言わせない微笑で近くの教室に強制的に引きずり込まれた。(死)


使われていない教室なのか誰もいないし埃っぽい。


「なんなんだよ?!っつか、手ぇ放せ!!」

まだリドルに腕を掴まれたままなのを思い出してヒステリックに叫ぶ。
あいかわらずリドルは笑ったまま腕を放さない。

「放せってば!!」

それでもリドルは笑って一向に腕を放す気配は無い。

「放したらは逃げるだろ?」

俺がその言葉に押し黙ると一層笑みを深くして続ける。

「さっきグリフィンドールの生徒と何話していたの?」

唐突な質問に俺はリドルが何を言っているのかわからなかった。

「図書館で一緒にいた彼だよ。」


数分前を思い出す。

確かに図書館にいた。
リドルの事が頭から離れず、ぼんやりしていた。
忘れようと思うたびに彼の俺を呼ぶ声が脳内に聞こえた。

。」

声をかけたのはハグリットだった。
グリフィンドール生のハグリットは不器用な奴だけど優しくて良い奴だ。

「ハグリットか・・・。どうしたんだよ。」

「それはこっちの台詞だ。最近元気がないようだがどうしたんだ?」

心配そうに見るハグリットの目が暖かくて思わず涙が出そうになった。
誤魔化すように笑って“何でもねぇよ。”と言うと彼はそうかと目を伏せた。

「でも、これだけは言わせてくれ。
俺が信用できないのなら他の奴でもいい。
相談してくれ。」

「だから」


一人で思い悩むな。


ぽかんとハグリットを見つめてから少し笑って


「ありがとう。」

ハグリットは満足そうに笑った。
俺も久しぶりに笑った。






「どんな話をしてたの?」


リドルの声に現実の引き戻される。


「・・・・・・・何でそんなこと聞くんだよ。」


怒りを抑えたような冷たい微笑に身体が震えた。
必死で震えを抑える。

「何でって・・・の事が知りたいからさ。」

空いている手で俺の髪を梳く。
それに不覚にも肩が揺れた。



「リドルには・・・・・関係ないだろ。」


思わず口走った言葉にリドルの雰囲気が変わる。






ダンッ





思いっきり壁に叩きつけられる。
骨が軋んで小さく呻いた。
捕らえていた腕にこれ異常ないくらいの力がこめられる。

「・・・・っ。」


突き刺さる憎悪の感情



「関係ないってどういう意味?」


低い声に顔を上げてしまった。


赤い瞳が俺の漆黒の瞳とかち合う。

無表情なリドルの顔。

なのに瞳だけぎらぎらと冷たく光る。

怖イ

歯が鳴って全身が震えた。
長い事この赤い目を直視できない。

と、リドルが動いたのがわかった。
それから噛み付くような深い口付けをされた。

驚いて逃れようともがき始めたが腕に入れた力を強くされ身体が竦んだ。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


「・・・・っんぅ・・・ふぁ・・・ぁ・・やっ・・・・・。」

恐怖で頭がパニックになる。
キスで息ができない。
絡みつく舌に今まで感じなかった感覚が産まれる。

理解ができない。

角度を変えられ何回も貪られてリドルはゆっくり放した。


「な・・・んで・・・・。」

崩れた俺の身体を抱きしめながらリドルは笑う。
この状況に合わない穏やかな笑みで・・・



「愛してるからだよ。」


そう言ってまた口付けた。









その言葉さえ台本に書かれた戯曲なのか

それならなんて酷い話なんだろう

溺れる事も突き放す事もできない俺は

ただ独り舞台に立っているだけなのだから


もしかしたら彼はアゲハ蝶だったのかもしれない

ひらりと舞い遊んで

俺を魅せて捕まえる事のできないアゲハ蝶

その美しさに

愚かな俺は

現実か幻覚かさえ見出せず

ただ瞳を閉じた






―― だめだめあとがき――――――――――――

鬼畜リドルの嫉妬話という事でかいた・・・が、
本当にこれは嫉妬で鬼畜なのかハルアキ自身疑問を持ちます。
あきら様、誠に申し訳ありません。(汗)

闇サイド