お日様の光が最高潮に達する五時間目。
私の眠りを妨げるように誰かの携帯がなった。
拝啓高杉先生へ カルシウムをちゃんと獲って・・・(失礼)摂っていますか?
五時間目というのは寝るためにあるのよ。
誰が言ったか知らないがそれを言った人は偉大な人だと思う。
確かに五時間目は寝るためにあるのだ。
お昼ご飯を食べた後など授業をする意味はない。
満腹感と午後の日差し(こういう時は絶対快晴と相場が決まっている)を
体中に浴びて眠らずにいられようか。
いや眠らずにいられまい。(反語)
しかも私は幸福(この場合は不幸なのか?いやいや、幸福だろう)なことに
窓際の席だ。
お日様の光プラス心地良い風。
こんなんじゃ教師の声なんて子守唄でしかない。
例え“目付きが悪い”ツートップの高杉先生の授業だったとしても。
黒板には数と記号の羅列。
xがどうとかyがどうとか。
別にそんなの、いいじゃないか。
円の方程式が判って何になるんだ。
それよりもなんでこの先生はこんなに目付きが悪いのかの方が大切だろう。
数Bの土方先生に引けを取らない目付きの悪さだ。
っていうか、なんで数学の先生はみんな目付きが悪いんだ。
今度坂田先生にでも聞いてみよう。
そこまで思って私は重い瞼を閉じる。
もう限界だ。
休み時間まであと二十五分。
眠りの世界へと旅立ちます。
チャララララーラ ラーラララー
いきなり誰かの携帯がなった。
これには私もびっくりだ。
目を閉じたままだったが、耳を澄ませていた。
高杉先生も気付いたのか説明するのをやめる。
まわりも少しザワザワと騒がしい。
早く止めないと高杉先生がキレちゃうよ。
短気な先生だから。
そう言えば土方先生もキレやすい。
数学教師はみんなキレやすいのかな。
携帯はまだ鳴っていた。
と、私はあることに気付いた。
この着メロ、
アンパンマンのテーマだ。
♪何が君の幸せ 何をして喜ぶ
わかないまま終る そんなのは嫌だ!
忘れないで 夢を
零さないで 涙
だから 君は 飛ぶんだ どこまでも
そうだ おそれないで みんなのために
愛 と 勇気だけが 友達さ
ア ア アンパンマン 優しい君は
ゆけ 皆の夢 守るため
素晴らしい歌詞だ。
愛と勇気だけが友達とか言っちゃってるよ!
誰だ、こんな素敵な歌を着メロにする奴はぁ!!(私も同じ着メロだ。)
お友達になりましょう。
尚も鳴り響く偉大で優雅なメロディー。
そろそろ止めないとマジで先生切れそうだ。
目を閉じてでも判る。
壮絶なオーラを感じます。(父さん、妖気です)←父さん誰だ。
邪悪で禍々しい黒と紫のマーブルオーラ!!
動く気配がする。
マーブルが動く。
どんどん近づいてくる。
そう言えば着メロも近い。
後ろの鈴木さんだろうか。
だったら後でお友達になろう。
きっと夢とロマンに溢れた性格だ。(余談だが私の周りの友達は何故か
現実主義な性格の人が多い)
と、先生の気配が私の前で止まっている。
ちょっと先生。
鈴木さんは後ろですよ?
ボケるには早過ぎますよ。
思わず目を開いて見上げたときだった。
「さっさと止めねぇか、!!」
青筋の立った先生の顔と怒鳴り声の後から
教科書で頭を(力の限り)叩かれた。
その後、携帯は先生のよって監禁(没収)されました。
マジかよ。