(どうせこの世は嘘ばかり。信じる事など無に等しい) あるところにサソリと言う傀儡師がいました。彼は暁と名乗る犯罪組織の一員で、任務となればどんな強者も弱者も悪人も善人も自慢の傀儡人形を使って殺してしまいます。情なんかかけません。だって彼は非情である以前に人形ですから。ずっと前に心も体も棄てたがらんどうなお人形なのです。 「それでも、」 がニコリと微笑みます。彼女は半年ほど前にサソリの部下になった女です。左側の額から左頬にかけて大きな痣がある以外は普通の女。彼女の一族は不思議な力を持っていましたが生憎彼女はその能力を授かる事が無く、一族中の笑い者でした。しかしその一族も暁の任務としてきたデイダラとサソリに滅ぼされてしまい、残ったのは役立たずのだけ。そのを拾ったのがサソリだったのです。 「私にとってあなたは世界の中心であるのですよ、サソリさん。」 コレは一種の運命だと彼女は熱っぽく囁きました。サソリはそれにいつも嘲笑と呆れを含んだ目で彼女を見下し くだらねぇ、と吐き捨てています。最初は苛立ってクナイを走らせていましたがめげる気配を見せないので最近ではもう諦めていまったのです。戯言ごときでクナイを投げるのも勿体ない。 そう、サソリはの言葉をまったくこれっぽっちも信じていません。なぜなら彼には“信じる”なんてものは存在しないからです。彼だけじゃありません。忍など所詮狸の化かし合い。みんな常に相手を疑って生きているのです。それでもは囁くのをやめません。だからサソリも何度も同じ言葉を吐き捨てます。しかしまたもやめげる事無く、彼女は微笑んで決まり文句となってきた台詞を吐きました。 「なので命に代えてでもお守りします、」 がサソリの代わりに命を落とす事はまず無いでしょう。だって彼女は暁に入れるほどの実力を持っているわけでもましてやサソリよりも強いわけでもないのです。は他の部下の人たちの中でだって埋もれてしまうような平凡な忍でした。 「必ずやお守りして見せます。」 どうせこの世は嘘ばかり。真の事など無に等しい。 だ か ら 彼 女 も 嘘 ば か り 。 |
愛を知らない人と愚か者の話
(愚かなピエロは歌うだけ)