「計画が成功するまで俺は髪を切らねぇ。」 つまり死なねぇって事だぁ、とあの日スクアーロはバカみたいに晴れ渡った空の下で傲慢に言い放ちました。その顔は俺がいなきゃ計画は成功しねぇぜとでも言うかのようなむかつく顔だったのでボスに習って銀の今よりも短い、けれどそれなりの長さを誇る長い髪を思いっきり引っぱってやったのを覚えています。スクアーロはすごい痛がって良い気味でした。 (それはとてもとても、言うならばアホみたいに晴れた日で・・・) 「、お前次任務入ってたか?」 「(あ、ヤな予感)・・・・いえ、久しぶりの休」 「仕事だ。」 「・・・・・・・・・・・・。」 椅子にふんぞり返っているボスに言葉を詰まらせていると、どっかの国のアニメキャラ以上に俺様なボスが強面の顔を歪めて「文句あんのか」と脅してくる。俺のものは俺のもの。お前のものも俺のもの。よって俺の命令は絶対。体の半分がそんな言葉の寄せ集めで出来ている(バファリンだってびっくりだよ)我等がボスは時々こうして私の休みなど一切配慮に要れず、仕事を押し付ける。 「ボス、私にだってプライベートと言うものがあるんです。部屋の掃除しないといけないし、風邪気味だし。聞いてくださいよ、この鼻声。」 「安心しろ、お前の鼻声は今に始まった事じゃねぇ。」 「(・・・耐えろ自分)そもそも私だけ働かせ過ぎじゃないですか。」 「知るか。」 ボスは俺様顔で資料を投げて寄越す。反射的に受け取った私はもうパシリが板についてきてしまった。スクアーロ亡き今、ヴァリアー及びボスの気まぐれ(と言う名のイジメ)が一心に私に襲い掛かってくる。そう、あのバカ鮫は自分の力を誇負し過ぎた結果中坊の山本君との勝負で鮫に食われて死んでしまいました。アホです。そして限りなく(了平君の言葉を借りるなら極限に)ダサいです。そんな死に方、三流映画にも出てこないのに。(いっその事山本君に止めを刺された方がずっとかっこよかったよ)ねぇ、スクアーロ。 アンタは今なにしてるのかな。私は休みが欲しい毎日を送っているよ。ベルは鼻炎の私にわざと花粉つきの花束贈りつけるし、マーモンは共同任務すると目が飛び出るほど出費を出すよ。レヴィは嫌味ばっかでルッスーリアは乙女話ばっか。私は仕事で自分の事を考える暇さえないよ。アンタは? のヤツ、仕事押し付けられてやがるぜってむかつく笑いでも浮かべているの? あぁ、空があの日みたいに間抜けな色をしているよ。アンタと同じアホ色。あまりにもアホ色過ぎてあの時アンタが言った俺は死なねぇを思い出す。(だからアンタはアホなんだよ)人間なんて簡単に死ぬものだよ。首と体が分かれただけで死んじゃうんだから。アホだよ、スクアーロ。こんな事アンタが一番知ってるでしょ? (だけど私は信じてた)(計画が中々進まなくて百年先になろうともスクアーロだけは計画を成功させるまで死なないって、おかしな話だけどバカみたいに信じてた) ねぇ、スクアーロ。 アンタの俺がいなきゃ計画は成功しねぇぜって言うあの自信は何処から来たものだったの?こっちはアンタがいなくなっても変わらず人殺したり傷付けたり冷笑したりしているよ。アンタがいてもいなくても変わらない生活が続いているよ。この所ずっと考えてんの。あの計画にあんなに命を掲げてきたアンタの存在って一体何だったんだろうって。ねぇ、スクアーロ。アンタは皆にとって居ても居なくても良い存在だったの? ボスはあの後盛大にアンタを哂ったけど。 ベルもマーモンもレヴィもくだらない事みたいに笑ったけど、何故かな。 私はどうしても哂えなかったよ。 スクアーロ、アンタはあの時どうして欲しかった?哂って欲しかった?怒って欲しかった?アンタは何も言わずに鮫に食われたから聞き損なっちゃったじゃない。ねぇ、哂いも怒りも泣きもしなかった私をひどい女だと思う?無表情でアンタを見ていた私を最悪な女だと思う?でもアンタはもっとひどい男だよ。何も出来なかった私に何も言う事無く、そのまま私の知らない何処かへ行っちゃったんだから。 ねぇ、スクアーロ。 アンタは救いようもないアホだったけど(本当に救いようがないよ、死んだし)ソレを信じた私も救いようがないくらいバカなのかなぁ。アンタが死んでもう何年も経つけど未だにアンタが死んだってこと忘れるの。バカでしょ? あれほど狙っていた私のより広いアンタの部屋。移り住んでからもアンタが出ていったままの状態で残ってるわ。私の私物は物置の中。バカみたい。 あぁ今日の天気は快晴だよ。アンタがあの日背景にしたアホ色の空が無限に広がってる。ねぇ、スクアーロ。お願い。嘘でも良いの。「死なないよね?」って言った私をあの日と同じ顔で笑って。 俺が死ぬはずねぇって自信満々のむかつく顔で笑い飛ばしてよ。 |
バ カ 鮫 に 告 ぐ
(そしたら私も怒って笑って泣くからさ)
07.04.22