ツナは山済みの書類と睨めっこしていた。ソファにはリボーンが寝転がり、向いのソファには獄寺と山本が判子の押された書類を分別している。ハルのお疲れ様ですの紅茶をツナが飲もうとしたとき、コンコンと軽いノックが響いた。 扉を開けたのは赤と青のオッドアイの背の高い男だ。一斉に顔が上がる。ツナたちにとってその男は忘れようにも忘れられない。マフィアを壊滅させようとし、マフィアを憎んでいた男。彼はツナたちを冷ややかに見つめると一歩後ろへと下がる。横から入ってきたのは黒髪の女性だった。小柄だが華奢ではない均整の取れた肢体。ピンクのカラーシャツに黒い上着と黒いパンツ。瞳はあの時と変わらない赤味を帯びた茶色。髪は少し伸びて無造作に一本に括られてある。ツナは目を見開いたが優しく笑った。女性も笑う。穏やかな微笑み。 「ツナ君、久しぶり。」 「八年ぶりだよ、。」 リボーンが満足気に笑う。 「随分御無沙汰じゃねーか、元帥。」 「『R.W』が六道たちを引き取ったってのは本当だったんだな。」 山本の言葉には笑って肯定する。紅茶の匂いが香ばしい。リボーンが寝ていたソファに彼女と骸が座り、向い側にツナとリボーンが座る。山本と獄寺はツナ側のソファに対になるように立っている。 「そう言えば右腕は如何した。いつも一緒だろ。」 「沖田さんならもうすぐ来るよ。たまにはバスで行きたいとかで」 「ただ単に逃げたんですよ、彼は。」 今まで黙ったままだった骸の一言にボンゴレファミリーは目を丸くした。忌々しげに彼は荒く息をする。 「僕だってあんな事にあるとわかっていたらの隣になんか乗っていなかった。」 「結構上手いと思うんだけどなぁ。」 「どっから来るんですか、その自信。」 また一つ溜め息を吐いて骸はソファに身を沈める。顔色が悪い。一方話の見えないツナたちは疑問符を頭に並べて首をかしげている。イライラした様子でリボーンが口を開いた。 「どー言うことだ。」 その言葉に二人は同時にリボーンを振り返り、一人は嬉しそうに、もう一人は嫌そうに、そして声の質は違っても同じ言葉を口にした。 「「免許取ったんですよ」」 「・・・・アレでよかったのかな。」 エンジンの音が遠くなるのを聞きながらツナはふぅと溜め息をつく。机には書類。さっきまでいた部下はリボーンだけとなり、が座っていたソファには入れ違いに部屋に入ってきた沖田がいる。紅茶を啜りながら彼はニヤリと笑った。 「まぁ、死にゃァしねェでしょう。ボンゴレが気に病むこたァありやせんぜ。」 が免許を取ったのはつい先日らしい。嬉しそうに話す彼女とは反対に骸は顔を顰めている。しかしいくら骸に聞こうとしても本人はあれから一切口を利かない。免許話は意外の他盛り上がって じゃぁ乗ってみよーぜ、うん良いよ、の話にまでまとまった。骸はすごく嫌そうな顔をしたが主を一人にするのは気が引けるのか大人しくの後ろに続く。ツナも本当は乗りたかったのだが書類が山のように溜まっている為リボーンに止められあえなく断念。 「ボンゴレ。」 「・・・何ですか。」 ツナは沖田が苦手だ。にやにやと笑う顔は奥が深く結構な策士家である事を示している。年もツナたちのは十歳上と言う事でなにかとやりにくい男だった。ふふっと沖田が笑う。 「命拾いしやしたね。」 「へ?」 *その頃のたち 雲雀「・・・・・ねぇ、ちょっとスピード出し過ぎじゃないの?」 「そうですか?」 獄寺「出し過ぎの域超えてんだろ!!百八十キロってなんだァァァァ!!>」 「イタリアですから。」 雲雀「関係ないよっ!」 「って言うかあんま話かけないで下さい。間違うから。」 山本「なぁ、少しずつ速度落とさねーか?何か俺、吐きそう・・・。」 「え、大丈夫?!はい、これ。一応吐いても大丈夫なようにね。」 骸 「!前向いてください!!前!!」 獄寺「ギャァァア!!」 「みんな少し大げさだよ。あ、」 ガシャァ ガガッ ガン 「・・・まー、こんなこともあるよね。」 山本「獄寺大丈夫か?」 獄寺「・・・・(←顔面を助手席にぶつけた」 雲雀「車が空中で一回転って初めてなんだけど・・・。」 「貴重ですね。」 ズギャギャ――――ッ!!ドンッ 「「「「・・・・・・・・。」」」」 「間違えてバックギア引いちゃいました。へて☆」 雲雀「降ろして。今すぐ。」 「遠慮しないで下さいよ。」 チャキ・・・ 雲雀「良いから降ろして。噛み殺すよ。」 骸 「止めなさい!」 雲雀「君の指図は聞かない。」 骸 「今ソレを使ったら君自身大変な事になりますよ。」 雲雀「・・・・。(トンファーを下ろす」 「楽しくやりましょうよ。」 骸雲雀「「(あなた)(君)のせい(です)(だ)から。」」 「じゃぁ怖い話でもしますか?盛り上げる為に。」 山本「おー、良いね!!俺からなー。」 この後山本、獄寺、骸、雲雀の順で生死を彷徨うドライブの中怖い話を語りつくした。語るのをやめるととんでもないことが起こる予感がしたので四人は半ば必死になって語りつくした。 「じゃぁ最後は私ですね。これ実話なんですけど」 雲雀「ふん、実話って付くものほど胡散臭いのはないね。」 骸 「クフフお手並み拝見と行きましょうか。」 獄寺「怖くなかったら罰ゲームな。」 山本「何にすっかなー。」 「え、罰ゲーム確実なんスか?!」 雲雀「早く話しなよ。」 「急かさないで下さい。えっと」 「この車にはブレーキがついてません。」 「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」 真っ青になってどうにか身を起こした四人はの足の下のペダルが一本しか付いていないのを見て凍りついた。 |
怖 い 話 し ま し ょ