「よぉ、調子はどーだ?」 まるで太陽のように眩しい笑み(髪が金色と言う所からして眩しい)を浮かべてディーノは持ってきたビニール袋をに差し出す。それに笑って 大丈夫ですと言う彼女の顔は少し赤いものの言動や瞳孔から平熱に近い事がわかり、ディーノの一歩後ろでバジルは安堵の息を吐く。左を気にしながら。 「おい」 「?」 「土産だ。」 「どうもスイマセン。あ、『今日の果物』シリーズだ。」 「の好きなのわかんなかったからさぁ、全部買ってきちゃった〜。」 「このシリーズ好きなんですよねー、ありがとうございます。」 「う゛お゛ぉい、テメーら!!言っとくがなぁ、金出したのは俺だからなぁぁ゛!!」 ずばぁんと卓上を叩いてスクアーロが突っ込むがザンザスとベルは一切無視だ。ベルに関してはと一緒になってゼリーの入ったビニール袋を覗き込みながら自分のオススメを彼女に手渡している。ザンザスもザンザスで山崎が持ってきた麦茶を豪快に飲んでいた。今にも切れそうなスクアーロを宥めているディーノを見てバジルは内心困惑していた。 「あの、殿。」 「はい?」 「なぜ此処にヴァリアーが?」 あまりにも当たり前の如くいてディーノも自然と対応しているから若干流されそうだったが明らかにおかしい。異質だ。自分とディーノよりも前に中二の少女の部屋に黒尽くめ三人がいるなんて。いや、そもそもボンゴレと敵対しているヴァリアーが何故此処に?全面的に対立しているわけではないがツナたちとヴァリアーの戦いは最早時間の問題だ。問われた少女は眉を寄せながら うーん、と首を傾げる。自分でも何故かわからないらしい。そんな理由もわからずに家に上げるほど仲がいいのだろうか。つい眉を顰めてしまうバジルに彼女の変わりに答えたのはベルだ。 「用事のついで。お前こそ何しに来たんだよ。つーか、誰?随分に馴れ馴れしいじゃん。」 「っ、なんだと?!」 「彼はバジル君ですよ。私の友達です。」 「そうです!拙者と殿は友人の仲!!おぬしこそ馴れ馴れしいではないですか!」 「当たり前じゃん。俺との仲だしぃ〜。お前とは格が違うんだよ。」 「(カチン)お言葉ですが拙者、殿の家には正式に招待されております。お妙殿にも挨拶しましたし、今日の夕食も御馳走になります。」 「(カチーン)何ソレ。妙に了解取ったからっていい気になってんじゃねーよ。夕食は俺だって食うし。(了解とってないけど)」 「う゛お゛ぉ゛い!ベル何勝手な・・・ゴフゥッ!!!」 「ちょっとスクアーロ煩い。黙ってて。」 「おいおいバジル。あんま迷惑かけ・・・・」 「ディーノ殿は少し黙っててください!!」 「・・・ハイ。」 キッと睨まれてディーノは冷汗を流す。コレは恐い。出来れば帰りたい所だが折角、に会いに来たのだからちゃんと夕食まで一緒にいたい。その思いだけが此処にいる事をとどまらせている。その間にも二人の間ではメラメラと火花が散っていて部屋は急に気温が高くなっていく。 「あ、あのそのへんした方が・・・」 「「(殿)も黙ってて(下さい)!!」」 「何騒いどんじゃぁぁぁぁ!!!!!」 あー、ほら言わんこっちゃない。背筋が薄ら寒くなるのを感じながらはザンザスの傍に非難する。ザンザスと以外は凍りついたまま動かない。と言うのも、怒鳴りながら部屋の戸を蹴り倒した妙の手には薙刀が握られており、その切っ先は丁度ベルとバジルの間に突き刺さっていた。ソレは同時にディーノのまん前でもあり一瞬彼の髪の毛をかすった。しーんとなった部屋の中で床から薙刀が引っこ抜かれる音だけが響く。そして何事のなかったような柔らかい微笑みを浮かべながら妙はベルとバジルを見る。 「ベルちゃん、あんまり騒いでるとティアラごと頭カチ割りますよ。」 「・・・・ハイ」 「バジルちゃん、あんまり煩いと熱湯に顔からぶち込みますよ。」 「・・・・ハイ」 「いつもの元気なちゃんだったらいいけど、今日は病み上がりだからあんまり無理させたくないの。わかるでしょう?もし風邪ぶり返して肺炎になって身も心もズタズタのボロボロになって胃の中も肝臓も脳ミソまでグッチャグチャのドロドロになって死んじゃったらどうするの?如何責任とってくれるの?」 「「あの、ホント・・・・・スミマセンで、した、」」 「わかればいいのよ。でも今度煩くして御覧なさい?・・・テメーらの頭カチ割って脳ミソすり潰すぞ、コラァ」 それじゃぁ、ごゆっくり。パタンと可愛い音を立ててドアは閉められた。が、菩薩の皮を被った魔王を忘れる事が出来ないバジルとベルは顔を真っ青にしたまま一向に動く気配はないし、床に薙刀を目の前で突き刺されたディーノも笑顔のまま固まっていた。ベルに殴られて講義の声を上げようとしていたスクアーロは初めて見る妙の本性にかなりの衝撃を受けたのか魂が抜けかけている。そんな色々と問題ある風景を眺めながらは隣で『今日のくだもの』シリーズのはっさくを食べてるザンザスに続いて自分も手を伸ばす。 「ザンザスさん」 「あぁ?」 「ボスって何があっても動じない精神が必要なんですね。」 「・・・・まーな。」 |
風 邪 を 引 い た 日