乾いた空に水色のカーテン

紅葉した落ち葉は特上の絨毯

足を踏み出せば ほら 聞こえるだろ?



僕達を祝福する足音のオーケストラ











スノースマイル









。」

「何?」


「また転ぶぞ。」


平馬の言葉には落ち葉を蹴飛ばすのを止め、眉を寄せた。

オレンジ色のマフラーがずるりと、落ちる。




「転ばないよ、失礼ね。」




そしてまた落ち葉踏みに熱中しだした。





病院内の小さな中庭。
紅葉した並木道が背筋を正して空高く伸びている。
空は薄い水色。

道には二人以外誰もいない。
みんな病室か噴水のある庭にいるのだろう。
あそこは人気があるとは言っていた。



の後ろを平馬がゆっくりと歩く。




は噴水がある庭じゃなくて良いのか?」

「こっちの方が好き。」

だって綺麗でしょ?



手を一杯に広げてが振り向いた。
顔には微笑み。
彼女の後ろには視界一杯に広がる暖色系。
素直に綺麗だ、と思った。



「そうだな。」



はまた、にこりと笑う。




「そうだよ。」




紅葉した木とオレンジ色のマフラーが彼女を良く魅せた。













続く道の横にある小さなベンチに二人座る。
何をするわけでもなく落ちていく葉を眺めた。
ひらり ひらり と落ちていくさまは雪のようだ。


。」

「何?」


丸い瞳が平馬を見つめる。


「なんでもねぇ。」

「なにそれ。」


そう言って頬を膨らます。
眉には皺がよっていた。



プっと平馬が吹き出す。


「ブサイク。」

「なっ!」


いよいよ吊り上がったの瞳。
恨めしそうに平馬を睨みあげる。

それに平馬は声を立てて笑った。







ずっと一緒にいような 結婚しような 



言いたいことは沢山ある。
だけどいつもここって時に飲み込んでしまう。
喉まで出掛かって、戸惑って、飲み込む。



、俺、お前に言いたいことがあるんだ。
告白もなしに付き合いだした俺たちだったけど。






「好きだ。」


「お前が一番好き。」







はにっこりと笑って片手を差し出す。
平馬も小さく笑って其の手を取った。
オレンジ色のマフラーが二人を包む。



「知ってるよ?」

小さくが言った。
それは本当に小さくて『言う』というよりも『呟く』の方が合っているのかもしれない。
平馬が微笑む。繋いだ手を少しだけ強くして。







「うん。」





落ち葉の色が冬の色に変わってゆく。