「先生!」
ふと自分と呼ぶ声には振り向いた。
そこにはより幾つか若い男が血相を変えて走ってくるのが見えた。
黒い真撰組の制服を身に纏っている。
「御待ちしておりました!こっちです!!」
意図的なのかそうでないのか男はの片手を掴んでぐいぐいと引っぱる。
男の顔があまりにも必死だったため文句を言うことも出来ない。
途中転びそうになるが、どうにか頑張った。
Accident
「副長!お連れしました!!」
男が襖を開けると中には七、八人の制服を着た男達が座っていた。
皆、所々怪我をしていた。中には結構な量を出血している人もいる。
その周りを連絡を受けて来たらしい五、六人の隊士が囲んでいた。
怪我人の中の一人がたちを見てにやりと笑う。
「ご苦労。」
「ご苦労、じゃねぇよ。俺は今日休診なんだぞ。そこ判ってんのか、土方。」
「ふん、テメェは気が向かないといつも休診じゃねぇか。」
「当たり前だ。厄介事には巻き込まれたくないんでね。特に」
そこで切っては周りを一瞥し、鼻を鳴らす。
「テロリストの立て篭もりなんざ一番タチ悪ぃじゃねぇか。」
そりゃ、そうだ。
そこにいた隊士たちはうんうん頷く。
土方も最もな意見で言葉に詰まった。
「血が多かったが大体は掠り傷程度。
深くて骨折くらいだな。」
命には別状無し。
それに周りの隊士はほっとしたようだ。
「しかし、斬り合った傷より爆弾騒動で逃げ惑ったときの傷の方が
深いってのはどう言う事だ、オイ。」
「・・・爆弾突きつけられたら誰だってパニックになるだろ。」
「パニクリ過ぎだバカ。」
深く溜め息をつくに土方も言い返せない。
話はこうだ。
坂田が持っていた爆弾に動揺した隊士たちは我先に逃げようと必死になった挙句、
将棋倒しになったり、そのまま階段から落ちたりなど、世間にとてもじゃないが言えない傷を作ったのだ。
まあ、立て篭もり事件は無事解決したからいいのだが。
「それで犯人、逮捕したのか?」
「・・・・・・・。」
「何故黙る。」
「捕まえたは捕まえたんですがねィ、そいつはどうも無実らしいんでさァ。」
「無実?」
隣に座っていた沖田の発言には形の良い眉を顰める。
「首謀者に罪をかぶせられたらしいですぜ。」
「へぇ、そりゃぁ不憫だな。どんな奴?」
「珍しい銀髪で死んだ魚の目をしていやしたねェ。」
ピタリと包帯を巻くの手が止った。
「もしかして名前は坂田銀時?」
「何だ、知り合いか?」
「ん、別にそんなんじゃない。」
「だったら何だよ。」
土方の質問には答えずは包帯を巻く手を再開した。
後ろで土方が何か言っていたがこの際無視だ。
黙々と残りの隊士の手当てをしていく。
横でじっと自分の事を見ている金髪少年(土方は沖田と呼んでいた)の視線が少し、痛かった。
主人公、銀さんと知り合いらしいですよ。
タイトルは『きらきらひかるサウンドトラック』より。