(どうしようか。)

前にはトロール
後ろにはハーマイオニー


逃げるに逃げられない。


・・・・・・・・。



絶体絶命じゃん。









ハロウィン騒動 後








「な、ど、ええっ?!どうするの!?」




結局ハー子はトイレのドアを開けてしまった。
開けて早々、最初の一言がこれだ。



はっはっは

ハー子混乱しすぎ☆


じゃなくって、マジどうしよう。



とりあえず、こういうときは獲物(?)から目を離さないんだっけ。

我も生き物なり 相手も生き物なり

ってことで、目を逸らしたら負けだ。

俺が目を逸らした瞬間、奴は俺を襲うだろう。

や、でも奴さん今にも俺を襲いそう。

ってか、棍棒振り上げてるよ。(汗)



誰だよ!!

目を逸らさなければ大丈夫っていった奴は!



きっと無能大佐だ・・・・・。(死)





落ち着け


とにかく落ち着け、俺



「って、落ち着いてられっかぁ―――――――――!!!!!!!」



「きゃぁ――――――――――――!!!!!」


トロールが棍棒を俺に向かって振り下ろす。

俺はハー子のてを引いて何とか免れた。




ドガァン



さっきまでいたところが一瞬で崩れ落ちる。




お、恐るべしトロール・・・・・・!!!



奴は、くるりと俺に向き直ると再び棍棒に手をかけた。

このままじゃ俺だけでなくハー子も殺られる。

空気中の静電気を使って攻撃する事はできるが、トロールじゃ効き目無いだろう。

せいぜい痛みに顔が歪むだけだ。

完全に動かなくしなければ・・・・・・・




「・・・っち!」


軽く舌打ちしてトロールに向かって一気に走る。


「っ!やめて!!!危ないわ!!」

ハー子の叫びが反響した。

俺は無視して両手に集中する。


仄かに合わせた手のひらが温かくなった。
錬金術を使うに当たっての現象だ。

うっし、準備万端。


目指すはトロールの腹。


視界の端に息を切らせて走ってきたハリー達が見えた。

自然と笑みが漏れる。


やっぱアイツ等も良い奴だ。


と、左頬に鋭い痛みが走った。

棍棒が顔を掠ったのだ。


気にせず(気にしてる暇ねぇし)トロールとの距離を縮めていく。


そして



バシュゥッ



思いっきりトロールの腹に手をつけて錬金術をお見舞いしてやった。



「ぐぅ・・・・・・がはっ・・・。」


血を吐いて倒れたトロール。

当分動けないだろう。



!大丈夫?!!」


後ろからハー子の声が聞こえて振り向く。

ハー子の泣きそうな顔と

ハリーの驚いた顔、

ロンの呆気に囚われた顔がそこにはあっって思わず吹き出した。


「笑い事じゃないわよ!!!!!!」


「ははは、ごめんごめん。俺は大丈夫。ハー子は?」


「私はどこも痛くないわ!っ!!貴方怪我してるじゃない!!!!!」



ハー子は駆け出してきて俺の頬に触れる。

「たいした事無いよ。」

「たいした事あるわよ!擦りむけて血が出てる・・・・。」

顔を歪めてるハー子に“痛くないから”と言ってハリー達に目をむける。



「ハリー、ロン。お前等も怪我ないか?」

にっこり笑って言ったら

「無いよ!!それより何であんな無茶したのさ!!!」


と怒られた。



急に騒がしい足音が聞こえ、マクゴナガル先生が飛び込んできた。

それからスネイプにクィレル。

三人とも驚いた顔をしていた。

マクゴナガル先生はきっと俺達を見据える。

蒼白の顔

細かく震える唇

明らかに怒っていた。


「どういう事ですか?」


冷静の中に見え隠れする怒り。


「せ、先生。私が悪いんです。」

沈黙を破ったのは意外にもハー子だ。

「私トロールをやっつけようとして・・・。
でも、思い上がってました。」


・・・・・・ハー子が嘘をついた?




「三人が来てくれなかったら、がトロールを倒さなかったら
私死んでいました。」


ちらりと俺達を見てハー子はまた向き直る。


「そうでしたか・・・・。ミス・グレンジャー、グリフィンドールから五点減点。
貴女には失望しました。」



「それから大人のトロールと対決できる一年生はあまりいません。ミスター・に十点加点。」

横でハリー達の顔がほころんだ。
最近俺加点が多いな。

さすが、俺!!!


「ミス・グレンジャー、ミスター・ポッター、ミスター・ウィーズリー、寮にお帰りなさい。」

「ミスター・は医務室に行きなさい。」

「付き添いは・・・・スネイプ先生、お願いします。」

マクゴナガル先生の言葉にスネイプは頷いた。

すっげぇヤな顔していたのは無視だ。


「・・・・付いて来い、。」


そう言ってローブを翻し出て行ったスネイプ。

俺は小走りでその後を追いかけた。


コイツには、けが人を気遣う心がねぇのかよ・・・・・。