静かな夜だった。
それは異常なほど静かで何かの予兆か
それとも
すでに悪いことは起きているのか・・・・
遭遇
目が覚めたのは偶然だった。
三日三晩寝ていたのでそろそろ身体が睡眠を拒んでもしょうがない時期だ。
二、三度寝返りを打つとやけに医務室が静かな事に気が付いた。
マダム・ポンフリーが居ないせいだろう。
それにしても静かだ。
ピーブスも大人しい。
今日はダンブルドアがいないのに珍しい。
また寝返りを打つ。
眠れそうに無い。
は見慣れてしまった天井を見、そして目をそらした。
どうも胸騒ぎかする。
この前の夜と一緒だ。
何かハリー達に起こっているのかもしれない。
ギクリ、身体がこわばる。
頭の中を横切った考えには血の気が引いていくのを感じた。
今 日 は ダ ン ブ ル ド ア が い な い の に 珍 し い
何 か ハ リ ー 達 に 起 こ っ て い る の か も し れ な い
掛け布団を蹴飛ばし、椅子にかけられているローブを引っつかんで
は医務室を飛び出す。
絶対安静と言われていたが今、気にしているところではない。
何故今まで気付かなかった。
【賢者の石】と関わっているハリー達。
それを狙うヴォルデモート。
では何故ヴォルデモートは石を取らない?
答えは簡単だ。
ダンブルドアがいたからだ。
彼の存在は大きい。
彼のおかげでホグワーツは守られている。
しかし、今夜は彼はいない。
どこまでも無防備なホグワーツ。
教師も生徒も気付かない。
ハリー達を抜かしては・・・・。
「くそっ・・・・・!!」
痛みが引っ切り無しにこみ上げてくる。
階段を登るのが辛い。
いつか四階の部屋で三頭犬に会ったとロンが言っていた。
そこに何かがあるはずだ。
急ぐ心に身体は付いていかない。
四階を睨みは役に立たない左足を罵る。
目的の部屋はすぐ見付かった。
唯一鍵が掛かっている部屋だ。
静かにドアを開ける。
そこにはロンが言っていたように大きな三頭犬が眠っていた。
部屋の端にあるハープが音を奏でている。
起こさぬよう注意してすでに開けられた扉に飛び込む。
躊躇している暇は無かった。
それから先に進むのは困難だった。
足は間違いなく悪化している。
半ば引きずるように左足を庇いながら
最後の部屋を目指す。
「!」
炎を潜り目に飛び込んできたのは
階段に横たわるハリーと
ハリーに近づく自分の父親、ヴォルデモート
考えより先に身体が動いた。
すっと杖をヴォルデモートに向ける。
「ハリー・ポッターに手を出すな。」
ヴォルデモートがへ振り向く。
その瞳は驚きで見開いていた。
赤い、赤い、深紅の瞳がかち合う。