最近働き過ぎだったかもしれない。
錬金術は大金になるが結構疲れるのだ。
しかも俺はあの無能大佐の部下だし。
苦労が絶えない。
うん。
そうだ。
きっと自分は疲れているのだ。だからこんな幻覚を見るのだ。
そうじゃなきゃ、俺の家に見知らぬジジィがいるわけない。
あり得ない事実
「ほっほっほ。待っていたぞ・。」
そいつは穏やかな笑顔で俺を家に迎えた。
っつか、髭長過ぎだろ・・・・オイ。
「どちら様ですか。生憎ここは俺の家なんですけど。不法侵入罪として訴えますよ。」
仕事上、年上の人には敬語を使っているので一応丁寧に出て行ってもらおうとした。
「まぁ気にする出ない。」
「今すぐ出て行けジジイ。」
冷静に対応しようと思ったがジジイは一向に出て行く気配が無い。
凄むように睨むとジジイはまた、ほっほっほを笑った。
「そう睨むでない。今日はこれをおぬしに渡しに来たのじゃ。」
そう言ってジジイは変な服のふところから手紙を取り出し俺に渡した。
そこには【・様】と書かれ、表には
「ボグワーツ魔法魔術学校?」
「そうじゃ。、おぬしは魔法使いじゃ!」
・・・・・・・・・・・・・・。
「俺は今頭の狂ったジジイの相手をしているほど暇じゃない。明日も仕事があるんだ。
他を当たってくれ。」
そう早口で言い終えると俺はさっさと寝る準備を始めた。
「信用がないのお。は本当に魔法使いじゃ。」
「魔法なんてこの世に無い。」
「有るか無いかは見てから判断してほしいのお。」
そう言うや否やジジイは杖(どっから出したんだ)を暖炉に向けて振った。
途端に炎が燃え上がった。
「!!」
「どうじゃ?これが魔法じゃ。この力はおぬしにもある。」
唖然と暖炉を見つめている俺を見ながらジジイは得意げに話す。
「・・・ジジイが俺と同じ場合もある。」
「わしがおぬしと同じ錬金術師ということかね?」
「空気中の静電気を使えばできることだ。」
「ほっほっほ。そっちの方がありえんな。わしは錬成陣を書いておらん。」
確かにそうだ。錬金術師は錬成陣を書いてこそ【等価交換の原則】を発生させる。
杖にはそれらしきものは書かれていない。
そうなると・・・・
「どうやらやっと魔法を信じるようになったかね?」
「・・・百歩譲ってジジイが魔法使いで俺も魔法使いだとしよう。」
“往生際が悪いのお。”というジジイの呟きは無視だ。
「でも、だから何だ。俺には仕事がある。そんな学校に行ってる暇はない。」
「でもこれは決まった事じゃ。
というか、もうおぬしの教科書は勿論、その手紙の中に書かれておる物は全て買っておる☆」
全部ピッタリじゃぞ!!
「・・・・・。(このジジイ)」
「行く気になったかの?」
小首を傾げて(つか、キモい)微笑まれた。
教科書はともかく制服(ローブと書いているが俺はあえて制服と言ってやる)は返却できない。
俺は年のわりにかなり小さいのだ。
そんな制服を返却しても着る人がいないだろう。
こんなとき自分の貧乏症が憎くなる。
・・・・ってか、なんでジジイが俺の服のサイズ知ってんだよ。
いや、ここは突っ込んじゃいけねぇ!!
「・・・判ったよ。いきゃぁいいんだろ!!」
「ほっほっほ。やっとわかってくれたか。」
そう言ってジジイはいつの間にか座っていた椅子から立ち上がり帰る準備をしだした。
「おおそうだ。忘れておった。これがボグワーツ行きの切符じゃ。無くさぬようにな。」
忘れんなよ、と思いながらその切符をうけとった。
「ちなみに明日発じゃ☆」
今くらいこのジジイを殴りたくなったのは初めてです。
「もう1つ言い忘れたがわしの名前はアルバス・ダンブルドアじゃ。
なんとボグワーツの校長じゃ。」
このジジイが校長あたりもうその学校ダメじゃん。
「では帰るとするかのぉ。」
暖炉の火を消すためか、またジジイは杖を振り上げた。
いや、振り上げようとした。
パチンッ
俺が指を鳴らした次には炎は消えた。ジジイは驚いているようだ。
それからすぐさま俺に振り返った。
「ジジイは1つ勘違いをしている。
確かに錬金術師は錬成陣を書いてこそ【等価交換の原則】を発生させる事ができる。
だが、例外も皆無ではない。俺のふたつ名はだてじゃない。
この 」
「【異端の錬金術師】はね。」
「・・・・それはおぬしの左眼の眼帯となにか関係があるのかね?」
ジジイは心底驚いた顔をしてから探るような視線で聞いた。
「・・・企業秘密。」
・・・・まったく、くえないジジイだ。
―― ダメダメあとがき ―――――――――――――
校長登場!ちなみに主人公は国家錬金術師。