「っくそ!!」

に八つ当たりにされた枕が壁に当たって落ちていく。










胸騒ギ









減点騒動から二週間、それはあっという間に過ぎ去った。

は挽回する為に授業で手を挙げ、どんどん点を入れた。

それは驚異的速さで一週間で五十点も稼ぎ、教師までも驚かせる事となった。

そんなある日ハリーとハーマイオニー、ネビルのもとに処罰の手紙が届いた。



「処罰は十一時に行います、だってさ。」

ハリーが打ちのめされたような顔でを見やる。



「処罰なんてあるのかよ。」


うわーとか言いながら手紙をまじまじと見る。

たしかにそう書いてあり、は顔を歪めた。


「今日かよ・・・。何かあんま良い予感がしねぇな。」

「嫌なこと言わないでよ、もう。」

その発言にハーマイオニーが突っかかる。

はごめんと、彼女に謝る。

彼女がぴりぴりするのは当たり前だ。

処罰の一切が書かれていない紙を渡され、どんな罰を受けるのだろうと怯えている人に
今の発言は禁句だろう。

「別にいいわ、気にしないで。」

ハーマイオニーは苦笑してパンを頬張る。

怒っていない様子を見てはホッと胸を撫で下ろすが、ざわざわした気持ちは一向に治まる気配が無い。




それどころかそれは時間が過ぎるにつれて大きくなっていった。







午後十一時。

皆が寝静まった頃、ハリーとネビルが男子寮から出て行った。

とロンはそれを見送った後、喋ることも無く寝床に入る。

が、ロンは少しして談話室に下りていった。

不安でたまんないのだろう。

は皆が眠る中一人、ベッドに腰掛けていた。

胸がざわざわ騒ぐ。

嫌な予感がする。



「っくそ!」


苛立って枕を投げた。

枕は壁に叩きつけられて床に転がる。


どうすればいい


ポケットに入れた懐中時計を握り締めて短く息を吐く。



何が出来る



考えろ

考えろ



伏せた瞳をきつく瞑ってまた開いた。

それから弾かれたように部屋を出る。

階段を駆け降り、談話室を後にし、途中ロンがソファで寝ているのを横目で確認してひたすら走った。




















――――――――― 行き先は禁じられた森