戦場に女神を
人々に歓喜を
我らに栄光をもたらす石
その石を人々はこう呼ぶ
【賢者の石】と・・・・・・・
二つの【賢者の石】
冬休みが終わりハーマイオニーが帰ってきた。
マグル界でもその名は判らないと、言われ達は脱力した。
「いったい誰なんだろうな。」
の呟きに三人はうーんと、首を捻る。
図書館の本はだいたい調べつくしたのだ。
そんなお手上げ状態だったある日、が談話室に帰るとロンが急いで走ってきた。
「見つけたよ!!フラメルをハリーが見つけたんだ!!!」
「へっ?!!!」
驚いて本を何冊か落としてしまい慌てて拾うと、すぐにハリーとハーマイオニーがいる椅子の側まで駆け寄った。
「見つけたんだって?!誰だった?」
「賢者の石を造った人だったんだ。」
輝いたハリーの声とは反対には顔を蒼白にする。
「賢者の石?!」
賢者の石?
まさか・・・・・そんなはずない。
「知ってるの?」
ハーマイオニーの質問にはうわの空で答える。
「・・・あぁ、俺の友達が探してる。何処に書いてあったんだ?」
それを聞いて固まった三人。
は気付かずハーマイオニーに問いかけた。
「・・・・・・・・・・ここよ。」
の真剣な顔に少し戸惑ったものの意を決してハーマイオニーは本の一説を指した。
錬金術とは【賢者の石】と言われる恐るべき力を持つ伝説の物質を創造する事に関わる古代の学問であった。
この【賢者の石】は、いかなる金属も黄金に変える力があり、また飲めば不老不死になる【命の水】の源である。
以下中略
ニコラス・フラメルはアルバス・ダンブルドアと共に共同研究ののち【賢者の石】を作り上げた。
そこまで読んでは長いため息を吐いて
「これ・・・・友達が探していたのじゃなかったよ。」
と、ほっとしたように笑った。
ハリー達も安堵したのかにへらっと、笑った。
「よかったー。あやうくからも石を守らなきゃならなくなる所だったよ。」
ロンが心底疲れたように言うのには“ごめん。”と顔を赤くした。
「ねぇ、それより三頭犬は【賢者の石】を守ってるんじゃないかしら。」
「ありえるね、金を作る石、決して死なない石。スネイプが狙うのも無理ないよ。」
「スネイプ?あいつじゃねぇよ。」
意外な人が話題に出て、は眉をひそめる。
「でもスネイプ以外考えられないよ。ハロウィンのときだって別行動してたんだぜ?」
ロンの意見は尤もだ。
だが、は違うと思っていた。
医務室で手当てしてもらったとき、彼は本気で心配していた。
あれが嘘だとはどうしても思えない。
「スネイプが狙っているにしても誰が狙っているにしても【賢者の石】を狙っているのに変わりはないわ。」
びしりと言うハーマイオニーの声にその話は終わった。
「ねぇ、の知っている【賢者の石】ってどういうのなの?」
寝静まった部屋で未だ起きているにハリーが問いかけた。
「まだ起きてたのか。」
寝ているものだと思っていたはハリーの声に仕事の手を休めて振り返る。
「明るかった?悪いな、この書類、明日までなんだ。」
「ううん、たまたま眠れなかっただけだよ。」
苦笑しての隣に座る。
「大変だね。」
皆が寝静まったときにが仕事をするのをハリーは知っていたのでねぎらいの言葉をかける。
「そんな大変じゃねぇよ。軍にいるときのほうが大変だったし。」
毎日が残業のようなものだ。
「軍で働いているの?」
「言ってなかったっけ?」
言ってないよと、拗ねるハリーには笑う。
「って謎が多いよ。」
「そうかなぁ。」
「かなり多い。僕が知らない事一杯あるし。
みんな知りたがってるよ。」
そう、ハリーだけではなく他の生徒もの事を知りたいのだ。
自分達の知らない錬金術と言うのを使う。
それ以外にもどこか人とは違う。
突っ込み思考なのにどこかボケてたり
子供っぽいところもあるわりに、いざと言うときは一番頼りになる。
相談すれば的確な答えを出してくれる。
そんな謎が多い不思議な人だ。
「聞かれないから答えてないだけだよ。」
は苦笑しながらペンを動かしている。
「そうかなぁ。」
「そうですー。で、ハリーは何が聞きたいんだっけ?」
書き上げた書類に目を通しながら聞く。
「だから、の知ってる【賢者の石】ってどういうのなの?」
は封筒に書類入れる手を止めて、ハリーの方に向く。
真っ直ぐ自分を見る翡翠の瞳。
少し考えた後、諦めたようにがぽつりぽつりと話し出した。
「結論から言うと俺もどういうものなのかわからねぇ。」
「哲学者の石」
「天上の石」
「大リクシル」
「赤きティンクトゥラ」
「第五実体」
「賢者の石の別名だよ。
名の通りその形状は石とは限らない。」
「わかっているのはその石は俺達錬金術師が使えば少しの代価で莫大な練成が出来るってことだけ。」
「?」
混乱してるハリーには出来るだけわかりやすく説明する事にした。
「何か作るときに少しの材料で大きなものが作れるって事だよ。」
「例えば一本の木で二階建ての家が作れるのと同じ。」
ハリーは納得したように感嘆の声を上げた。
「すごいや・・・・。」
それには苦笑する。
「うん、凄いよな。でも使う人で良くも悪くなる。
魔法と同じだよ。」
「特に俺の国では・・・・ね。」
封筒の書類を夕方のうちに借りてきたフクロウに括り付けながらは自嘲気味に答える。
「三十年以上前になるよ。当時俺の国には内乱があってね、多くの錬金術師が戦場に借り出されたらしい。」
「そこで石は使用されて絶大な威力を発揮した。」
「・・・・何百人もの犠牲者と引き換えに。」
伏せた赤い瞳が一瞬揺れた。
「強い力って使う人によって左右されやすいんだ。」
「俺の友達は失くした物を取り戻すために石を探している。」
「それがどっちに転ぶか俺にはわからないけどきっとあいつ等は良い方に使うよ。」
「俺はそう思ってる。」
が優しく笑ってハリーを見る。
「さ、もう寝ようぜ。明日はまた忙しいよ。」
そう言っては机を整理したのち明かりを消した。
だめだめあとがき ――――――――――
オリジナル設定が・・・・・・。
意味わかんないね。
ちなみに無能大佐は内乱には活躍していません。
そういう設定です。(汗)