空をいつも眺めている
私の大事なお友達へ
7、
「何かあったの?」
私の質問には小さく笑うだけ。
「なにが?」
「リドルと何かあったのかって聞いてるの!」
つい声を荒げた私に彼女は驚いて目を見開いた。
「何でもないよ。ただちょっとのすれ違い。」
そう言って微笑む。
は数日前から優等生のトム・リドルと付き合いだした。
一日の大半は一緒にいて楽しそうに話をしていた。
私は内心イラ付きながら遠くでそれを見つめていた。
なんで彼女は彼を選んだのか
そう思いながら
楽しそうな二人を見つめていた・・・・・・
「・・・は変わったね。」
ポツリと呟くとは困ったように笑った。
「やな奴になった?」
穏やかに笑う彼女直視できない。
「そういう意味じゃなくて大人っぽくなった。」
前は子供のように笑って一緒に馬鹿やってたのに
「落ち着いてるし」
走り回ってるのをいつも見かけたのに
「綺麗になった。」
今の貴女は微笑むだけ
とても綺麗に
とても儚く
笑う
「羨ましいよ。」
本当は
羨ましくなんてない。
私の大事なお友達
あんたはいつからそんな儚く笑うようになったの?
腕だってこんなに細くなかったでしょう?
「綺麗になったって言われるのは初めてだよ。
ありがとう、サキ。」
にっこり笑うを見て涙が零れた。
私の大事なお友達
あんたはバカね
私が気づかないとでも思ったの?
日に日に増えていく風邪薬なんて聞いた事無いわ
ねぇ
本当に私が気づかないと思ったの?
夜中に声を殺しながら咳をしてるのだって知ってたわ
あんたが医務室で血を吐いてるのも
身体が動かなくなってきてるのも
あんたがもう長くない事も・・・・・・―――――――――
「っ・・・・・いなくならないでっ・・・・。」
喉の奥が詰まって旨く声が出ない。
ついでに頭も回らない。
言ってはいけない言葉を口にした。
我ながら卑怯だと思う。
「いなくならないで!!」
が困った顔で微笑む。
彼女を困らせたくはないのに
「ねぇ・・・・お願い・・・・。」
彼女を幸せにしたいのに
私には彼女を幸せにすることは出来ない
「なにか言ってよ・・・・・・・。」
唯一出来るのはトム・リドル
貴方だけなのに
貴方はが「貴方の大切な人」だと自覚していない。
貴方が付き合ってきた女でほど会話を楽しめた人はいないでしょう?
ほど穏やかな空気を作る人はいなかったでしょう?
を見ている貴方の顔はとても穏やかでいとおしそうだった。
そして貴方と同じくらいも貴方を思っている。
貴方を幸せに出来るのはで
を幸せに出来るのは貴方
何で貴方は気づかないの?
早く気づいて
手遅れになる前に
硬く目を瞑ったが私を強く抱きしめた。
「 」
あぁ
あんたは残酷ね。
最後のあんたの望みなのに
私は叶えられないだろう。
『最後まで笑っていて・・・』
瞑ったの瞳から冷たい涙が頬を伝っていくのを見た。
ねぇ
優しい人は沢山いるのに
なんであんたは彼を好きになったの?