どこまでも青い空

今日もこの世界は


平和です




4.



あたしがトム・リドルと付き合って三日が過ぎようとしている。


相変わらず彼は綺麗に微笑んでいて
相変わらずあたしはただの地味っ子だ。


あ、でも変わったこともある。
リドルはあたしをと呼ぶし(最初かっらだっけ?)あたしは彼を
リドルと呼ぶようになった。
敬語を使うのもなくなったし(タメ口でいいよと言われた)今は微笑ましい恋人同士ってとこかな。



ただ彼の微笑みはいつも悲しそうだ。


気づいたのは二日前。

彼は世界を憎んでいた。
名前を呼ばれるのを嫌っていて笑った顔は冷たい。
闇さえ飲み込んでしまうほどの闇を抱えて何もかもを憎んでいた。
仮面をつけたまま笑っているのを見たようではっきり言って怖いと思った。



でも本当は誰かに助けて欲しいかったのを知ったのは昨日。

彼は世界を憎んでいない。
闇に飲み込まれてももがいていた。
仮面の下で笑ったまま泣いているのを知って苦しくなった。




あたしと同じだったんだ。




理由も抱えてる問題の重さも違うけどあたし達は確かにヒーローを待っている。




そう思ったら彼が可愛く感じた。
多分、人間なんだなって思えたからだ。



完璧人間はやっぱり人間だった。



それがすごく嬉しい。

共感できたからとか彼に近づけたからとか
そんなんじゃなくて
うまく言えないけれど彼が人間だとわかって良かった。



凡人で無力である人間にならヒーローは助けに来る。

だから彼にヒーローは必ず来る。
それに安心した。








。」








リドルの呼ぶ声が聞こえる。
振り向くと彼の仮面の微笑が見えた。




もうすぐヒーローが来るよ



あたしも笑って答える。






「こんにちわ、リドル。」





ハロー ハロー

美しき世界に住むヒーローへ

はやくリドルを

助けに来てください、どうぞ?



あたしの初めて愛しいと思えた恋人なんです―――――――