運命の神様がいるなら

あたしは間違いなく運が良い。

・・・一般的にはね





3.






「ちょっとー!、あのリドルと付き合うんだって?!」

耳が早いね、わが友よ。


あの後、トム・リドルに無理やり押し切られて付き合うことになった。
そしてその事はホグワーツ中に知れ渡った。



なんてこったい。



「うん、そうらしい。」

「そうらしいじゃないわよー!からコクったの?」

「あっち」

うっそー!!

嘆き驚く友達がおかしくて笑った。

“笑ってんじゃないわよ!”と言いながら友達も笑ってあたしを抱きしめたり、
髪をくしゃくしゃに掻き回したり・・・


あぁ、幸せだ



しみじみ思って嬉しくなって、悲しくなった。

一週間後あたしはこの三人の中にいない




なんてこったい。









「リドルもいい趣味してるわよねぇ。あんな地味な子と付き合うなんて。」




聞こえてきたのは気に障る声。

友達もあたしも声のしたほうに振り向く。

そこにはグリフィンドールの女子生徒が数人いた。

ふわふわの金髪に大きい瞳のかわい子ちゃん達。

あたしがいるのを知っていてわざと言っているのだろう。




「まぁ、遊びだろうけど。」


「でも相手はその気かもよぉ?」



ちらりとあたしを見てくすくす嘲笑う。



「・・・、行こう。」

その子達を睨みつけながらサキがあたしの手を引っぱる。

他の二人もその子達に眉をしかめながら後に続く。







「何あれー!ムカツク!!」

見えなくなったところでサキが柱を蹴りながら叫んだ。



ちょっと中身見えてるよ、サキさん。


「そんなに怒んなくてもいいよ。あたし気にしてないし。」


笑って言うと“そういう問題じゃないでしょ!”と三人に怒られた。


「でもトム・リドルって女癖悪いって。」


丸い鼻がご愛嬌のソフィが言いにくそうに呟く。


「あぁ、あたしも聞いた事ある。」

アルマも相槌を打ってうんうん唸る。


「ちょっと!なんでそんな悪いうわさの前言うのよ?!」

サキが憤慨するのを抑えながらあたしは口を開く。

「サキ、落ち着いて!あたし気にしてないってば。
ってか、多分遊びで合ってると思うし。」

ぴたりとサキは動きを止めた。

「だってあたし見てくれも中身も凡人だし、たまたまトム・リドルは
そんな凡人に興味持ったんじゃない?」


「一週間くらいで飽きられると思う。」


「でも、まぁ、有名人と付き合える機会なんてもう無いと思うし
それまで楽しく付き合うさー。」

カラカラ笑っていった。

だって本当の事だし

きっと彼もすぐ飽きるでしょう。


一週間ごとに女を変える男と

一週間も生きられない女



なんてお似合いなんだろう。




「・・・わかった。何も言わない。」


「でもフられたら酒飲んで泣き言聞いてあげてもいいわよ。」


意地悪そうに笑ってサキが言った言葉に不覚にも涙が出そうになった。


「まだフられてないよ、失礼な。」


なんとか笑って言い返す。

なんていい友達をもったんだろう

こんなにあたしを思ってくれている





なんてこったい。






多分今、あたしは一番幸せ者だ








ハロー ハロー

美しい世界に住む友達へ

あたしはあなた達に会えて

とても幸せです、どうぞ?