「よっしゃぁ、こい!!」

「いや、お前がこいよ。」


見慣れたスリザリンの談話室。

あぁ 僕、こいつと何やってんだろう。








親友の恋










目の前には意気込んだ顔の



パッチリとした茶色の瞳に肩までの真っ直ぐな赤銅の髪。

一般的に可愛らしいといわれるような容姿だ。



だから好意を寄せる男は少なくない。

が、神とはなんとも残酷な者で彼女の容姿と中身を合わせなかった。



つまり 早い話が変わっているのだ。


俊敏狡猾なスリザリン生のくせにそれらしき要素が無かったり、
頭はいいのに常にろくでもない事を妄想しているような女だ。



この前コイツはダンブルドアの髭の長さがどのくらいなのか測りにいった。

しかもマグルの使う30センチ定規で、だ。


測り終わって帰ってきたの顔はとても爽やかなものだったのは言うまでも無い。




そんなと僕は不幸にも親友だったりする。








「え〜とですねぇ・・・・・。あっ・・・あ〜・・・。」










お前はカオナシか









「『一年の頃から』だよ。」

「あ、そっか。え〜一年の頃から・・・・・」



そもそも僕がどうしてこの似非スリザリン生とこんな奇妙な会話をしなければいけないんだ。

答えは一時間前の出来事までさかのぼる。












「リドルリドルリドルリドル〜!!!」


本を読んでいるとが馬の如く疾走してきた。

ここが図書館だって事を彼女は理解していないだろう。



「何?っていうか、静かにしようよ。」

「大変だ!事件だよ!!どうしよう!!!」

「・・・・・聞いてる?」



お前が人の話を聞かないのはわかりきった事なんだけどね。

いつまでも騒がしいのせいで司書のマダム・ピンスに僕まで追い出された。




最悪だ。





「で、今日は何がどうしたの?」



寒い廊下を歩きながら隣を歩くに視線を向ける。

彼女は良くぞ聞いてくれましたと、言わんばかりに目をキラキラさせて僕を見た。

もし尻尾が付いていたらなら、はちきれんばかりに左右に振っているだろう。





まぁ、そこが可愛いんだけどね。









どうも僕は似非スリザリン生のこのが好きらしい。

友情じゃなく恋愛として。


こう見えて僕は結構モテる。

告白されるのだって日常茶飯事だ。

より可愛い子は幾らでもいるのに何故か僕はが好きでしょうがない。



何処がいいのかと聞かれれば答えるのは難しい。

第一、僕自身彼女に恋愛感情を抱いているのに驚いているのだから。


でも しいて言えば子犬のように僕の後ろをちょこちょこ付いてくるトコとか

くるくる変わる表情とか、何でもかんでも一番最初に僕に教えてくれるトコとか・・・・


答えるのが難しいとか言いながら考えれば幾らでも出てくるあたり、こいつにべた惚れなんだろう。

しかし問題があった。









「聞いてよリドル、あのね。



あたし告白しようと思うの!!」









そう このアホ犬は猛烈に今恋をしている。











目の前に好いている人間がいるって言うのに、だ。



「すればいいじゃん。」

「事も無げに言うねぇ・・・。」

「だって僕がするんじゃないし。」

「親友が今人生の階段を登ろうとしてんのよ?!
よっしゃ、俺が手伝ってやる、大船に乗った気持ちでいろや〜!くらい言ってよ!!」








無理だって。






「あーはいはい。で、何をどうするの?」

「まず、どうやってコクるかなの!」

「は?」

「台詞だよセ・リ・フ。いきなり好きって言えないじゃん。
っつーことで、いつもコクられているリドル大先生様に台詞を考えてもらうわけです、はい。」


そう言ってはご丁寧にも廊下の真ん中で文房具を広げていく。

ここで書く気なのか?

100%ここで書く気だろう。


「わかった、わかったから。寮に帰ってから考えるから。ひとまずそれ片付けろって。」

「本当?!さすが自慢の親友だよ!!」





そして今に戻るってわけだ。




「『一年の頃からずっと好きでした。もし良かったらお付き合いしてくれませんか。』
簡単だろ?なにを躊躇う必要があるんだよ。」

「なんっつーか、シチュエーションを想像すると難しいのよ!」







お前の場合妄想だけどね










「このままじゃいつまで経っても告白できないわ!!」



こぶしを握り、怒ってんのか悲しんでんのかいまいちわかんない顔では騒ぐ。

談話室にはちらほら生徒が戻ってきていて僕達を面白そうに眺めていた。


一年の始めは美男美女のお似合いカップルと噂されたが今では漫才コンビに変換されている。

果てには漫才コンビを応援する会という訳の分からない且つ馬鹿馬鹿しい物まで蠢いているらしい。

やるのはかまわないが僕を巻き込まないで貰いたい。


、僕はもう部屋に戻っても良いかい?」

「なぬっ!?見捨てる気?!!」

「人聞きの悪い事言うなよ。お前がもたもたしているのが悪いんだろ。」

「も、もたもたって・・・・。しょうがないじゃない!
ねぇ後一回付き合ってよー!!」

「後一回後一回って言ってこれで二十八回目だよ。」

「今度が最後の後一回だから!」

「それも五回聞いた。」

「ぬぁ〜!!ヴォルデモート卿は心が狭いね!!真面目に後一回だから!お願い!!」

「・・・・・・・分かったよ。」

「ありがたき幸せ、っス!」


まったくもって僕はに甘い。

将来誰もが恐れる闇の魔法使いになると言うのに情けない。



「え〜と、最初なんだっけ?」

「『一年の頃から』だって言ってるだろ?」

「わかってたわよ。」



嘘つくな





「い、一年の頃から」



気を取り直してはさっきの台詞を吐く。


顔を赤くしながら

瞳を伏せながら









「ずっと・・・・・・・好きでした。」






僕に言ってんじゃない事ぐらいわかっている。


わかっているのに鼓動が速い。



そして










痛い











「もし良かったらお付き合いしてくれませんか?」
























がいなくなった談話室で一人本を読む。

アイツは今頃、告白しているんだろう。


「一番に報告するよ!!」


そう言って出て行ったアホ犬。



明日からアイツの隣は僕じゃない




はぁ






ため息ばっか出る





一層の事失敗すれば良いのに








そう思う反面


成功して欲しいと願う






それは


出て行く間際の彼女の顔

その笑顔は最高に輝いていたからだ。






なんて馬鹿な恋だ







僕は本日九十九回目のため息を付いて談話室を後にした。





だめだめあとがき――――――――――――

うわぁっ;何なんだこの夢。
わけわかんねぇ・・・・・;
一応リドル夢?です。れん様ごめんなさい;